ロンドンの名所
よく晴れた気持ちの良い日だった。ロンドン市民の憩の場、トラファルガー広場だ。小学生の頃読んだ「キャンディ・キャンディ」という少女漫画のシーンと全く同じだった。ライオンの像に人がまたがり、噴水の回りに本を持った学生風の人達が座っていた。(ちなみに私は小学生のころ少女漫画が好きでキャンディ・キャンディやはいからさんが通る、エースをねらえなど全巻持っていた)
我々もそこで一服をして今度は世界の中心?へ向かう。テムズ川の右岸だ。船でも行けるようだが、私はダメ。自分で車を運転していても酔うくらいだから、船など持っての他。歩いて行くものきつい。
そこでタクシーに乗ることにした。ロンドンのタクシーはこれまたなかなかごつい。黒塗りで中はかなり広い。というかがらんとして殺風景である。そのシンプルさ、頑丈そうな車体がまた、イギリスの気概を感じる。そうして着いた場所がここ、世界の中心?だ。
この地面に埋め込まれた金属棒がそうだ。何だか分からないね。これは本初子午線。つまり東経・西経0度ということだ。社会科では必ず習う。地球上に人間(イギリス人)が引いた経線の中心である。そこはグリニッジ天文台。
誰もがこの子午線をまたいで写真を撮る。「俺は世界を一跨ぎしたんだ」と得意げな顔をして。もちろん例に漏れず、我々も写真を撮る。それはまさに19世紀のイギリス人よろしくと言った顔なのだろう。
グリニッジ天文台からロンドンの街並みを見下ろす展望台にはWorld Mapがあった。中心はイギリス。我等が日本はまさに東の端、極東と言う言葉がその地図にはマッチする。我々が目する世界地図とは大分趣が違う。ヨーロッパの国々から見れば日本に対する意識はそんなものなのだろう。世界を一跨ぎした日本人の私は何か釈然としない思いに駆られながら、それでも眼下に広がる芝生と陽気に誘われ、天文台のショップで買ったテニスボールで野球に興じたのであった。