Back Insects  ビートルズを訪ねて [T]

バックインセクツのメンバH・SとM・Aの二人が、ビートルズを訪ね、1992年の夏にイギリスの土を踏んだ時の物語です。とくと?お楽しみください。

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 (5)4日目[リバプール] (2004/5/2 掲載)
by H.S(→メンバー紹介

 チャーチロード

 リバプール二日目、最初に訪れたのはチャーチロードにあるセント・ピーターズ・チャーチ。手入れされているとはいえない蔦の伸びた壁。赤い看板がその教会であることを示している。中には墓地があり、そこにはエリナ・リグビーの墓がある。

 「ここから全てが始まったんだなあ」とM・Aは感慨深げに見上げる。

 ビデオを撮っている私に近所の子供が手を振る。子供はどこも同じだ。ジョン16歳、ポール15歳。「若いなあ」と嘆息をついた自分に妙に若さが無いことにふと気付いた。

 ここもやはり閑静な住宅街の中にあって、人けもほとんどない。


 ストロベリー・フィールズ  

        

 そして、ストロベリー・フィールズだ。ジョンが子供のころ遊んだ救世軍の孤児院で、今も福祉施設となっている。見つけた門は写真でみたものとはまるで違う新しく作られた門だった。確かにストロベリーフィールドと書いてあった。

 「古くなって新しく作りなおしたのだろう」などと話ながら、思い描いていたものとのギャップに肩を落しながら歩いて行くと、何と、あの門だ。新しい門の先に今は使われていないであろうその姿があった。

 門の両脇の柱にはやはりビートルズファンのものと思われる落書きがあった。「MIKI」とか「YUKA」とか日本人のものもあった。それにしてもひっそりとそこに存在している門が余計にあの幻想的な雰囲気を十分伝えている。

 さっそくビデオを撮る。M・Aが 「Let Me Take You Down 〜」と歌う。と突然サイレンの音。目の前をパトカーが通りすぎる。せっかくの歌が台無し。再びやり直す。これが情けない。

 Nothing Is Real。リアルってジョンにとってはキーワードだったのだろうな。

         


 メンローブ・アベニュー

 ストロベリー・フィールズからペニー・レインに移動する。メンローブアベニューからバスに乗る。バス停でバス待ちをしている時にIn My Life を歌うことにする。M・Aと二人でだ。この曲は私が一番好きな曲だ。何と言っても歌詞が良い。ジョンが幼い頃に過ごした風景を見て、無償に歌いたくなった。ワン・トゥ・スリー、歌い出そうとすると3人の若者が通る。歌い出せない。結構、恥ずかしいものだ。ましてや、イギリスで英語の歌を歌うなんて、凄いプレッシャーだ。バス停にはおばちゃんもいる。物怖じするM・Aを無理やり促し、歌い始める。There Are Places I'll Remember 〜。

 ワンコーラス歌い終わると、バス待ちのおばちゃんが「Good」と声をかけてくれた。これも気恥ずかしいが嬉しかったりする。プレッシャーから解放されると打ち解けるもの早い。カナダから来たというおばちゃんと意気投合。というか一方的に喋り捲られたのだけれど。どこでもおばちゃんは話好きだ。それに合わせられる自分も結構きているなと思うけど…。バスの中でもおばちゃんは話が止まらなかった。

 ところで、バス待ちをしていると、メンローブ・アベニューで交通事故が発生していた。ストロベリー・フィールズでけたたましくサイレンを鳴らしていたパトカーはこの事故のためだったのか、と思いつつ、この通りで交通事故で亡くなったジョンの母親のこと思い出した。


 ペニー・レイン

 ビートルズのシングルの中で最強のシングルといったら何だろう、と考える。ベストテン的なものはいろいろあるが、このような質問をしたら何が1位になるかな?恐らくこのシングルにも多くの票が集まるのではないかと思う。

 そう、両A面「ペニーレイン」「ストロベリー・フィールズ」だ。何とこの強力なシングルはイギリスでのビートルズの連続1位獲得を阻止されたという歴史的シングルなのだが、これを「イギリスの恥じ」とまで言わしめたものだ。

 そう、2階建てのロンドンバス?(リバプールバスだ)に乗ってついたところがペニー・レイン。

        

 バスを降りるとまず目についたのがSgt.Pepper'sの看板。どうやらレストランのよう。通りの角にはポールが聖歌隊として入っていたというセント・バーナバス教会。そして歌詞に出てくる床屋があったり。4人が少年時代を過ごした街の息吹が感じられる。

 今日もやはり穏やかな晴れた日で自分の幼少時代にゆっくりと過ぎていた時間を思い出してしまった。


 B&B

 ブレックファースト&ベッドのこと。朝食とベッドのみ、という最低限のサービスで格安で泊まれるホテルのことだ。ホテルと言うよりは下宿のような感じところだが、リバプールではそこに2泊した。朝食は感じの良いおばあさんが無口に入れてくれる紅茶とトースト、そしてスクランブル・エッグ。

 リバプール最後の夜は居間でゆっくりする。古いピアノが置いてあり、「好きに弾いて良い」ということ。またまた旅の恥は何とやら。Let It Be、Imagineから始まって最後は「酒と涙と男と女」まったく酔っ払いのセッションは延々1時間も続いた。同泊の日本人の女の子達は辟易していただろうなとその時は考えもしなかった。


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